正しいエッジ(ブレード)の選び方

(H氏の独断と偏見による)

はじめて、自分の靴を持ったとき、皆さんのほとんどは、ウィルソン社のコロネーションをつけると思います。しかし、2,3年になってくるとやはり、コロではものたりなくなくなり、また靴の買い替えに合わせてエッジもグレードアップしますが、そこで悩むのがどのエッジにするか。

候補は間違いなく下の4つでしょう。

  • ウィルソン社:ゴールドシール
  • ウィルソン社:パターン99
  • ミッチェルキング社:ゴールドスター
  • ミッチェルキング社:ファントム

さてこれらのエッジはそれぞれ特徴があり、どれが本当に自分にあっているかを判断するのは、難しいものです。本当はすべてのエッジを履き比べるのが一番であるのは間違いないのですが、まあ不可能な話です。多くの人は先輩のエッジや話を参考に決めているようです。最近の傾向として、ゴールドシールをつけている先輩が多いので、ついシールを選びがちですが、なかなか慣れないという話しも耳にします。

たしかにシールは良いエッジと思いますが、忘れてならないのは、シールは上級者用のエッジだということです。アクセルやダブルのレベルはまだまだ中級です。

ということで私の、これまでのいくつかエッジを履いたこと感触と、各エッジの数値データを分析しこのレポートを作成いたしました。皆さんのエッジ選びに役立てば幸いです。

◎各モデルの比較とその特徴(下表参照)

各モデル比較表

メーカー

モデル

エッジカーブ半径

溝半径

エッジ幅

(接氷部)

ボトムトウの形状

対象

価格(2001年現在)

ウィルソン社

コロネーションエース 7フィート(2.13m) 3/8インチ(0.95cm) パラレル4mm

シングル

初級者

24,000円

ゴールドシール 8フィート(2.44m) 1/2インチ(1.27cm) 前3.5mm丹.2mm シングル

上級者

76,000円

パターン99 8フィート 3/8インチ(0.95cm) パラレル4mm(と思う) ダブル

上級者

71,400円

ミッチェルキング社

ゴールドスター 7フィート 7/16インチ(1.11cm) 前3.5mm丹.2mm(と思う) ダブル

上級者

63,000円

ファントム 7フィート 7/16インチ(1.11cm) 前3.5mm丹.2mm シングル

中・上級者

57,500円

1.エッジカーブ半径について

市販のエッジのカーブ半径は6~8.5フィートです。基本的にカーブ半径が大きくなるに従い上級者向きとなります。半径の大小の特性として

  • 大きい半径:スピード性能が良い。スピンの乗る位置が狭くなる(が乗れれば安定する)。
  • 小さい半径:運動性能が良い。

さてここでポイントととなることはコロネーションから履き変えた時、ファントム、スターはコロと同じ7フィートなのでカーブの違和感およびスピンの乗る位置がほぼ同じですぐ慣れることができますが、シール、パターンは半径が違うので慣れるまでにある程度の滑り込みが必要となる(もちろんそれは人により違うと思いますが)と言うことです。

2.溝半径

当然、溝半径が小さくなるほどエッジの食い込みが良くなり、特にエッジジャンプが飛びやすくなります。しかし私の実感と1/2前後ならそんなに違いは感じないと思う。

3.溝幅

溝幅が細くなるほどスピード性能が良く、また運動性能が良くなります。とくにシール、スター、ファントムで採用されているテールに行くに従いさらに細くなる形状は運動性能がかなり優れる。一方コンパルソリーはしにくくなる。

溝幅が広くパラレルの方がコンパルソリーがし易く初心者向きです。(この点でなぜパターン99が幅広パラレル形状としているのか不思議です)

4.ボトムトウ

下記のトウ形状の写真を参照して頂きたいのですが、ボトムトウ(氷に近いトウ)がシングルトウタイプとダブルタイプの2通りあります。

シングル:トウのかかりが簡単。瞬発飛び系のジャンパーに適する。

ダブル:トウのかかりがワンテンポ遅くなるが、かかれば確実に高く飛べる。ためて飛ぶジャンパーに適する。

 

◎トウの形状(写真はすべてKピックモデルですが横っちょに張りついているトウ(Kピック)を取れば外は同じです)

  • ゴールドシール

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最もオーソドックスなトウ形状

  • パターン99

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ボトムトウダブルタイプ。トップトウは偏平縦形でトウジャンプのかかりは良い。

  • ゴールドスター

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こちらもダブルトウタイプ。

  • ファントム

clip_image008

シングルトウで且つトウ全体が一番大きい。約3年前マイナーチェンジをしパターン99と同じくトップトウが偏平縦型となった。でトウジャンプの刺さりが良くなった。

5.結論

え、こんなにいろいろかかれて余計に混乱してきたって。

ではここから私の独断と偏見でお勧めエッジを紹介いたしましょう。

  • ファントム:女性スケーターにはファントムが一押しです。あと瞬発ジャンプ系の男子。
    理由:トウが大きいので力がなくてもジャンプが高く上がりやすい。エッジがいい割には安くコストパフォーマンスが高い。コロとカーブが同じですぐ慣れる。
  • シール:男性スケータにはシール、あと女子選手である程度滑りこめる方。
    理由:力のある男子および女子上級選手にとってはすべての面で総合的にもっとも優れたエッジである(世界選手権クラスの選手の8割がシールを履いているのを見てもわかる通り)。
  • スター:ため系ジャンプの男子スケータに適する。(がシチズンリンクのオバチャンスケート教室で10人程のオバチャン全員がスターを履いていたのはビックリした。案外いいのかも)
  • パターン99:ため系のスケータに適する。
    理由:これもボトムトウがダブルの為かかれば高く上がる、パラレルエッジのためコンパルのし易さは最高(でも今の時代では意味ないかも)。またテールの長さが一番短いので、ダンスもできる。ということは、フリー、コンパル、ダンスとオールマイティなエッジであるのだろうか。

追加:しかしなぜ最初履くエッジはみんなコロを選ぶのでしょうか。M&Kのプロフェショナルもかなり良いエッジなんですが…。ちなみに私は始めてのエッジはプロフェショナルでした。幹部の皆さん、来年の新人にはぜひプロプロフェショナルも勧めてください。

あと、ちなみにこれらのエッジはすべて、前述の写真の通りKピックバージョンがありますがはっきり言って、クワドラプルトウループを飛ばないと関係ないでしょう。(でも一度どんな感じか試してみたいのでお金が余っている方は買って、一度履かしてください)

また関西スケータのぺージのQ&AコーナーでもF井氏が各エッジについてコメントしていますので合わせて参考にしてください。

さらに、皆さんの自分のエッジの感想および下記エッジ使用一覧表を充実したいので、よろしかったら(hatta@hazama.co.jp)にご意見ください。整理してまた追加掲載いたします。

参考:有名選手、阪大OB使用エッジ一覧表(2014/12/31 41代中浦が一部表に加筆しました)

種類

有名選手

阪大OB・現役

シール クワン、スルツカヤ、ブチルスカヤ、本田 藤井
パターン99 洋子先生 八田、冨田、川嶋、中浦、木下
スター   小枝、塩尻
ファントム 陳露、ダイエー系選手 八田、渡辺、田中
エリート   白神、福満